【レビュー№1215】ファスト&スロー



ファスト&スロー (上)
ファスト&スロー (下)
評価★★★★★
Amazonのアカウントで確認したところ、昨年の3月に本書をKindleで購入しているのだが、本日までに上下巻を5回通読してきた。やっとのことで、腹に落ちた様な気がする。だからと言って、本書が例えばタレブのブラックスワンの様に難解な書であるわけではない(ちなみに、すっかり忘れていたがブラックスワンは4回通読してレビューしていた様だ)。
著者自らがまえがきで、また池田信夫氏もレビュー記事で指摘するように、本書の正体は「オフィスでの井戸端会議のネタ」のオンパレードだ。一つ一つの逸話は大した話ではないのだが、それらがことごとく直感的な予想に反するので、本書でも触れられているミュラー・リヤー錯覚の様に、頭の中に違和感をもたらすのだ。池田信夫氏のレビュー記事にもあるカーネマンの言うところの「システム2」の負荷が高まるからなのだろう。
だからと言って、本書を避けることはかつて評者がブラックスワンのレビューに書いたのと同様の理由で、あなたの人生にとって大きな損失となるだろう。
本書を読んでいる間に、何人かの方から「話題の本の様だが、要はなんて書いてあるんだ?」と質問を受けたことがある。
終章が「結論」となっており、強引にまとめてしまえば、


  • 速い思考をする直感的なシステム1と、遅い思考をする熟考型のシステム2
  • 理論の世界に住む架空の人種エコンと、現実の世界で行動するヒューマン
  • 現実を生きる「経験する自己」と、記録をとり選択をする「記憶する自己」
ということなのだろうが、これだけ読んでも理解不能だろう。毎日1章ずつだけでも構わない。時間をかけてでも、お読みになることを強くお薦めする。

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